会いたい 食べたい
行ってみたい東北があります。

2015.01.06 浅沼醤油店

創業100年の今年、伝統を守りながら新しい試みにもチャレンジ【浅沼醤油店】

大正三年、岩手県盛岡市の1軒の醤油醸造所が浅沼醤油店のはじまりです。
古くは中国から伝わり、日本独自の発展を遂げた醤油醸造。
「醤油」は日本人が最もよく使い、食卓に欠かせない調味料でありながら、きちんと選んで使っている人は、私を含めいったいどれほどいるのだろうか。そんな思いを抱きつつ東北村のメンバーで浅沼さんのもとを訪ねました。

日本の食卓に必ずある調味料。
だからこそ美味しくて安心なものを丁寧につくる。
そのことにこだわります。

浅沼醤油店4代目として代表をつとめる浅沼宏一さん。
「麹菌はまるで赤ちゃんのよう。熱があがったらすぐに冷ましてあげないと、あっという間に元気がなくなっちゃうんです。そしてひとたび機嫌が良くなると食欲も旺盛で、醤油に悪さをする菌を寄せ付けないほど仲間をどんどん増やしはじめます。この麹造りの時期はまさに陣取りゲームのようです。私たちはしっかり麹が陣取りできるよう見守って、サポートしてあげるんです。」

湿度100%という過酷な条件のもと、約3日間かけて麹のお世話をするそう。
このお話しをされているときの表情は、本当にわが子を語るパパそのもの。
様々な例え話をおりまぜながらとてもわかりやすく、説明してくださいました。

今年で創業1世紀を迎える歴史ある醸造所

浅沼醤油店

大正三年(1914年)、浅沼さんの曾祖父が創業した浅沼醤油店は今年で100年を迎えます。戦前までは、浅沼醤油店のある通りわずか100メートルほどになんと4件の醤油醸造所があったそう。
まさに地域の食を地域で支えていた時代です。

戦後、食生活の変化に伴い食品作業も多様化するなか、日本の伝統的な醸造技術を守り続ける一手として、つゆやポン酢などの製造の他、えごま醤油をはじめとした地元の食材を生かした新商品の開発にもチャレンジされてきました。

「昔は醤油一升が床屋さんの散髪料と同じぐらい高価な調味料でしたが、いまはお醤油も床屋さんの料金もずいぶん安くなりましたしね。 お醤油の伝統を守り受け継ぐことだけにとらわれるのではなく、これから続く方法もしっかり模索していかないと自分の醤油が作れなくなってしまうんです。 これからは地域に貢献できる町の工場を目指して、培った醸造技術やノウハウを活用しながら地元の食材による新しい調味料の提案もしていきたいと思います。」
と経営者としての目線からもお話しをしてくださいました。

浅沼醤油店でつくるお醤油

浅沼醤油店

浅沼醤油店のお醤油は、寒暖の激しい盛岡市独特の気候で育つ香りの強い本醸造(※1)の濃口醤油。
香りが強くバランスに優れているので、卓上調味料はもちろんのこと、肉じゃがやきんぴらなどの煮物など幅広いお料理にもとってもよく合います。 特に肉料理や魚料理には香ばしく香りを引き立てるのでおすすめ。 淡泊な食材にもしっかりとした味付けをしてくれます。

写真はお醤油づくりのスタート、大豆を蒸すための巨大な圧力釜。一度に2トンを蒸すことができるだけあり工場の天井に届きそうなほどの大きさ。 短時間で蒸すことで素材の旨みを逃さない工夫がされています。

※1 本醸造:原料である大豆と小麦を、麹菌をはじめとする微生物の力のみで醗酵・熟成させて醸造した醤油の作り方のこと。 (参照元:しょうゆ情報センター)

浅沼醤油店

熟成途中の諸味(もろみ)。
『ピン・パン・トン』発酵熟成のはじける音が蔵中に響いてます。

浅沼醤油店

熟成した「諸味」から生醤油を絞る「圧搾」の工程。
ろ布というナイロン製の布にもろみを包み、積み重ねることでその重さで搾ります。
『やさしく、すこしずつ』が浅沼さんのやりかた。
(左)お醤油の圧搾作業
(右)圧搾時につかうろ布。繰り返しつかうことでお醤油色にそまってきます。

浅沼醤油店

(左)菌は生き物。タイムスケジュールでしっかり管理。
(右)火入れしたお醤油は3日間おりをひきながらゆっくり冷ます。

東北村スタッフ伊藤のおすすめの1本

浅沼醤油店のおすすめ

浅沼醤油店には、一度味わえば続けて使いたくなるお醤油「二段仕込み生醤油」があります。
お寿司やお刺身にぜひお使いいただきたい、とろりとした濃厚さに旨みがつまったお醤油。原料も時間も手間も2倍。「効率よりも美味しいものを」そんな想いで仕込まれました。
ひと夏を越えて熟成された醤油に、再び麹を加えてもうひと夏熟成させる二段仕込み製法。
原料をふんだんに使用し、これ以上醗酵が進まないという限界まで醗酵させた 酵素も酵母も生きた「生」のお醤油。 大豆、小麦、食塩だけで作られたお醤油なのに、その濃厚さには驚きの一言。

また、東北地方(主に福島・宮城・岩手)では『七草粥』にならんで『三日とろろ』という風習があります。 正月の3日の朝にとろろご飯を食べる習慣がありそれを「三日とろろ」と呼び、正月料理やお酒で疲れた胃腸を休めたり、また、三日とろろを食べると一年間風邪をひかないという健康への祈願もこめられた慣わし。

この3日とろろにこちらのお醤油、相性抜群でした!

とろろをかき混ぜれば混ぜるほど香ってくるお醤油の香りが印象的。
このどことなく日本酒にも似た香りは酵素や酵母のものなのでしょうか?

浅沼醤油店さんの直営店
『食楽日和(くらびより)』

浅沼醤油店直営店舗

盛岡市中ノ橋通りにある浅沼醤油店さんの直営店『食楽日和(くらびより)』。
町の調味料屋さんとして老若男女、様々なお客様がひっきりなしに訪れます。

浅沼さん渾身のお醤油はもちろん、岩手が詰まった調味料が所狭しと並んでいました。
なかでもキャベツの町、岩手県岩手町のキャベツを美味しく食べるために開発された『キャベタリアン宣言』は 岩手県内のみならず、全国からも注目のドレッシングです。

絶品醤油スイーツも楽しる!

醤油ソフトクリーム

食楽日和の店内で販売されている、『エゴマ醤油ソフトクリーム』。 こちらを注文すると、お味噌、二段仕込み醤油で作ったデザートシロップかけ放題(なんて太っ腹)! あまじょっぱくてやみつきに。ぜひお店に行かれた際はお試しくださいね。

『食楽日和(くらびより)』店舗情報
【住所】岩手県盛岡市中ノ橋通1-8-2
【TEL】019-622-2580
【営業時間】10:00-18:00

私たちが浅沼さんのお話しを聞いて、工場案内していただいて感じたこと。
もっともっとお醤油について知りたいと思ったのは言うまでもありません。 お醤油は日本の食卓に欠かせない、知らない人がいない調味料。 あまりにも当たり前になりすぎて、むしろ遠い存在になりつつあったのではないだろうか。
ただ単に、原材料や作られ方だけで使うお醤油を選ぶのではなく、その特徴を知って使い分けができるだけで毎日の食生活がとても豊かになるのではないだろうか。そんなことを考えた一日でした。

株式会社 浅沼醤油店

株式会社 浅沼醤油店

大正3年に岩手県盛岡市で創業。
「日本の食卓に必ずある調味料。
だからこそ美味しくて安心なものを丁寧につくる」
今も人の手で丁寧に1年をかけて
醤油を醸造しています。
大豆アレルギーの方でも食べられる
えごま醤油を発売するなど
醤油の可能性も広げています。

住所|岩手県盛岡市中ノ橋通一丁目8番2号
TEL|019-622-2580
FAX|019-622-2586
http://www.asanumashoyu.co.jp/

© 2017 TOHOKU MURA All Right Reserved.